シリコンバッグを入れた10人に1人は
「カプセル拘縮」を起こす
ただちに害はないと言っても、シリコンバッグ自体は体にとって異物であることにかわりありません。
体内では、手術で入れた異物を外に押し出そうという働きが生じます。
しかし、シリコンバッグは皮膚や乳腺、脂肪組織などの奥深くに挿入されていますから簡単に体外に押し出されたりしません。代わりに自分の体の繊維成分が皮膜を作り、これを閉じ込めようとします。これ自体正常な体の反応で、薄い皮膜であれば問題ありません。
しかし、この皮膜が必要以上に強く取り囲み、厚くなってシリコンバッグを強く締め付けるようになった状態をカプセル(被膜)拘縮と呼びます。
カプセル拘縮を「体質によって起こる」と説明するドクターがいますが、片側しか拘縮しない患者さんもいます。日本では年間約2万件のバッグ豊胸が行われているとされますが、10人に1人の割合なので、毎年約2千人がカプセル拘縮を起こしている計算になります。
放置しておくと...
拘縮がはっきりして、見ても異常感があります。触るとテニス硬球状であることが分かります。
体質によるもので予想不可能と説明されることが多いですが、実際には負担の大きな手術手技で多くの出血を伴った場合、感染や炎症を起こした場合は強くこの現象が見られます。
硬さを気にし、無理なマッサージで炎症を起こすとかえってこれを助長することもあります。
テクスチャードタイプ(表面がざらざら)のバッグは、拘縮が少ないとされますが、元々バッグの袋が厚く、バスト内で動かないことを前提に作られているので、拘縮がわかりにくいという方が適切かもしれません。
手術の後に超音波を照射したり、アコレートのような拘縮を予防する内服などで拘縮を予防することが試みられますが、それでも完全に予防することはできません。
なりやすい方
- 体質
- 術後に出血している方
- 炎症を起こしている方
- スムースタイプバッグでマッサージ不足の方
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- 通常時
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- 皮膜が必要以上に強く取り囲み厚くなりバッグを強く締め付ける
拘縮の程度 【Beckerの皮膜拘縮分類】
カプセル拘縮の診断には、「Beckerの被膜拘縮分類」という分類法がありグレード1~4までがあります。 「カプセル拘縮」診断の基準となっています。※放っておくと段階が進みます
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- 乳房は柔らかく、埋入した異物の感触が、ほとんどない自然なもの。
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- よく触れるとインプラントがわかるが、かなり柔らかく患者にあまり苦情がない。
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- 患者自身が硬いという。外見上は美容的に可であるが、触れるとインプラントがはっきりわかる。
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- 拘縮がはっきりして、見ても異常感があり、触れればテニス硬球状である。
症例画像 (カプセル拘縮)
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- 見た目も触った感触も
テニス硬球状である
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- 寝ても異常感があり、
拘縮が明らかにわかる